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リビング・トイレ・洗面所・居室で違う!プロの床材の選び方

目次
はじめに
床材って、どうしても見た目の好き嫌いから入ってしまいますよね。けれど、毎日触れる場所だからこそ「部屋ごとに合う素材」を選ぶと、後からの満足度がぐっと上がります。
今回は、私(井上)が建築資材の商社で18年営業をしてきた経験と、実家がタイル工事と建材販売の老舗という現場の実感をもとに、「それ、選んで正解だったね」と言える床材の考え方をまとめました。今は住宅会社の営業という立場ですが、カタログの数字ではなく、お客さまの“使ってみた本音”を大切にしてお話しします。
家の中を3つに分けて考えると、迷いが消えます
<当社施工事例>
まず、家の中をざっくり三つに分けてみましょう。
①素足で気持ちよく過ごしたい場所(LDKや1階の廊下)
②水や汚れが気になる場所(トイレ・洗面・脱衣・ランドリー)
③音や費用とのバランスをとりたい場所(2階の寝室や子ども部屋)
この三つの役割を決めておくと、サンプルを選ぶときも見積もりを比べるときも判断がブレません。
[元・建築資材の商社マン]井上からのアドバイス①
まずは「上質にしたい場所」「水に強くしたい場所」「無理なく選びたい場所」を紙に書き出してみてください。決める順序がはっきりすると、その後のやり取りがスムーズになりますよ。
結論から:私の自宅にも採用したい組み合わせ
1階
LDK・廊下・個室は、無垢フローリングの「浮づくり」仕上げ。
木の表面にほんの少し凹凸をつけた加工で、足裏にやさしく、小さなキズも目立ちにくいのが魅力です。
2階
主寝室・子ども部屋は、突板(つきいた)フローリング。
本物の木を薄く貼ったタイプで、見た目と価格のバランスがよく、色のブレが少なく扱いやすいです。
水まわり
トイレ・洗面・脱衣・ランドリーは、クッションフロア。
一枚物で目地が少なく、水拭きしやすいので日々の掃除がとてもラクです。
LDKは「浮づくり」の無垢がおすすめな理由
<当社施工事例>
リビング・ダイニングは、家の快適さを一番感じやすい場所。ここは浮づくりの無垢を選ぶと、素足で歩いたときの心地よさが違います。表面の凹凸がほどよく空気を含むので、冬場でも「冷たっ」という感じが少し和らぎます。細かなキズも凹凸の陰影に紛れて目立ちにくく、「使い込んだ味」になっていくのも人気の理由です。
もちろん良いことばかりではなく、溝にホコリがたまりやすい面もあります。ただ、週末にサッと乾拭きする程度で十分きれいを保てます。
木の種類に迷ったら、まずはオーク(ナラ)を基準に。表面仕上げは、しっとりとした質感を楽しむならオイル、手入れを軽くしたいならウレタンやUV仕上げ。忙しさや好みに合わせて選んでくださいね。
トイレはクッションフロア一択でOK
<当社施工事例>
トイレはクッションフロアで問題ありません。
目地が少ないのでにおいの元が残りにくく、水拭きでサッときれいになります。将来の張り替え費用も抑えやすいので、長い目で見ても安心です。
色は中間のグレーや石目調が人気。可能なら巾木(はきものの当たる一番下の横板)までクッションフロアを立ち上げてもらうと、拭き残しがほぼなくなります。
洗面・脱衣・ランドリーもクッションフロアが相性よし
<当社施工事例>
水や洗剤が落ちやすいスペースは、クッションフロアがやはり使いやすいです。足あとが気になる方は、細かい石目柄や細かな木目柄を選ぶと目立ちにくくなります。
室内干しが多いお宅は、すべりにくいタイプも検討すると安心です。
2階は突板で。将来の模様替えにも合わせやすい
<当社施工事例>
寝室や子ども部屋は、突板(つきいた)フローリングがほどよい選択です。本物の木の表情がありつつ、色のブレが少なく、価格も安定しています。子ども部屋は家具の入れ替えや移動が多いので、見た目と扱いやすさの両方で頼りになります。
イスのキャスターによるキズは、最初からフェルトや透明マットを敷いておけば安心です。
ペット・イスのキャスター :気をつけたいこと
ペットと暮らすご家庭は、すべりにくい表面仕上げやマットの併用がおすすめです。
イスのキャスターは前後に動く10センチほどの帯が一番傷みやすいので、ここだけでも保護しておくと安心。小さな工夫で、見た目のきれいさが長持ちします。
サンプルの見方と、施工前に決めておきたいこと
<当社施工事例>
床材はA4サイズ以上のサンプルで、昼と夜の見え方を確認するのがコツです。
キッチンの素材を切り替える場合は、切り替える位置と幅を図面に数字で書き込み、見切り材の種類と色も先に決めておきましょう。
トイレのクッションフロアを巾木まで立ち上げるか、巾木を木にするか塩ビにするかも、事前に写真や実物で確認しておくとイメージ違いを防げます。
[元・建築資材の商社マン]井上からのアドバイス②
資材の世界は、ロットの違いや急な廃番、納期のずれがときどき起こります。図面や仕様書に「代わりに使っていい範囲(色味・光沢・厚み)」をひと言でいいので書いておき、代替するときは必ず連絡というルールにしておくとトラブルを避けられますよ。
価格は“材料だけ”で見ない。同じ条件で比べると失敗しません
見積りを比べるときは、材料の品番だけでなく、見切り材や巾木、接着剤などの副資材、そして張る方向やカットで出るロスの考え方までそろえてもらうと、公平に比べられます。
無垢はやや高めに見えますが、部分補修がしやすいことや毎日の満足度まで考えると、長い目では十分に選ぶ価値があります。
突板は2階にちょうどよく、クッションフロアは水まわりの総コストを抑えるのに向いています。
[元・建築資材の商社マン]井上からのアドバイス③
見積りでそろえてほしい3点は、
①品番(床材の正式な型番)
②副資材の内訳(見切り材・巾木・接着剤などの種類と数量)
③張り方向とロス率(どちら向きに貼るか、その結果どれくらい端材が出るか)
この3つが明記された見積り同士なら、条件がそろっているので正しく比較できます。
まずは担当者に「この3点を見積りに入れてください」と伝えてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 浮づくりは掃除が大変ですか?
→ 溝にホコリはたまりますが、週末の乾拭きで十分です。小さなキズが目立ちにくいので、見た目を保ちやすいのが利点です。
Q2. LDKを全部フロアタイルにするのはどうですか?
→ 掃除はラクになります。ただ、足元の冷たさや濡れたときのすべりが気になる方もいます。私は、キッチンの作業帯だけ素材を替える方法をよくご提案しています。
Q3. 2階も無垢にしたいのですが?
→ 可能です。ただ、色のブレや反りが出やすく、費用もかかりがちです。総合的に見ると、2階は突板が選びやすいと感じています。
Q4. オイル仕上げとウレタン、どちらが良いですか?
→ 質感重視ならオイル、手入れを軽くしたいならウレタンやUV。ご家庭の暮らし方で決めて大丈夫です。
Q5. ペットが滑らない床は?
→ 浮づくりや防滑タイプはすべりにくさに配慮されています。必要に応じて小さめのマットを組み合わせると安心です。
まとめ
床材は、「どの部屋で、どう過ごしたいか」を先に決めると、答えが見えてきます。
1階は“浮づくり”の無垢で素足が喜ぶ心地よさを、2階は突板で無理のない選択を、水まわりはクッションフロアで掃除のしやすさを。毎日の暮らしが“ちょっとご機嫌”になる床材を見つけてくださいね。
<今回ご紹介したお宅の施工事例>
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