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【冬の後悔ゼロ】プロも自宅で採用する“寒くない家”のつくり方|断熱・窓・間取りの正解
目次
はじめに|「冬だけやたら寒い家」をつくらないために
家を建てる多くの方が、間取りや設備にはしっかり時間をかけます。一方で、「家が冬にどれだけあたたかく過ごせるか」という視点は、打ち合わせの終盤まで出てこないことが意外と多いんです。しかし実際には、冬の室温=暮らしのストレス量と言っても大げさではありません。
- 朝の支度がしんどい
- 子どもが風邪をひきやすい
- 光熱費が高い
- 結露やカビが起きやすい
こういった「暮らしの困りごと」は、家の性能ひとつで大きく変わります。この記事では、“住宅のプロが自分の家を建てるなら必ずやること”だけに絞り、難しい専門用語は使わずに解説していきます。
執筆者・藤井について
私は 大手ハウスメーカーで10年間営業担当をしてきました。その中で痛感したのが、「施主側に知識がないと、本当に損をする」ということです。また、実家は一級建築士も在籍する不動産会社で、土地探しから注文住宅まで“施主に寄り添う家づくり”をずっと見てきました。だからこそ、「難しい言葉を覚えなくても、要点だけ押さえれば後悔しない家は必ずつくれる」ということを、この記事を通してお伝えしたいと思っています。
寒い家は「暮らしの質」を下げる

「寒いとしんどい」のは、体感だけの問題ではありません。家が寒いと、実際にこんな影響が出ます。
- 朝布団から出られず、支度が遅れる
- お風呂や脱衣所でヒートショックのリスクが上がる
- 風邪や乾燥トラブルが増える
- 暖房費がかさみ、家計に響く
特に共働き家庭は「毎日の時間との勝負」。朝が寒いだけで、家族全体の動きが鈍り、日々のストレスが積み重なってしまいます。
[元・大手HMの営業マン]藤井からのアドバイス①
家づくりで性能を優先することは、“贅沢ではなく、生活のゆとりを増やす選択”だと考えています。まず「冬にどの部屋を快適にしたいか」を考えてみてください。
LDK・脱衣所・寝室の3つが快適なら、生活の質は大きく変わりますよ。
暖かい家にしたいなら、まず「窓」から考える
<当社施工事例>
家の温度に最も影響するのは「窓」です。ここを妥協してしまうと、どれだけ断熱材を良くしても寒い家になります。あたたかい家に必須なのは、樹脂サッシ+Low-Eガラス(アルゴンガス入り)この組み合わせ。さらに意外と盲点なのが“窓の数”。明るさを重視するあまり、大きな窓を多くつけると、暖かさは確実に逃げてしまいます。また、東西の窓は夏は暑さの原因にもなります。必要以上に増やさず、南・北を中心に検討するとバランスが良くなりますよ。
[元・大手HMの営業マン]藤井からのアドバイス②
トイレ・浴室・玄関の窓は「寒さの原因」になりやすい場所。まずは“窓なし”を前提に検討しても大丈夫です。
断熱性能は「数値を見るだけ」では不十分

断熱性能を見るとき、UA値(0.6以下、できれば0.5前後)をチェックするのはとても大事です。ただし、実は床下の断熱と気密が取れていないと、足元だけ冷える家になります。特に床断熱の場合、施工が丁寧でなければ“床から冷気が上がる”現象が起きやすい。逆に、しっかり気密施工されていれば、床断熱でも十分暖かく過ごせます。プロが自宅を建てるときは、断熱材の種類よりも「施工の質・丁寧さ」を最優先します。
[元・大手HMの営業マン]藤井からのアドバイス③
断熱材そのものよりも「どこに隙間ができやすいか」を意識してみてください。窓まわり・床下・屋根裏は特に要確認です。
「気密性能」を軽視すると暖かさが逃げる

気密性能は、家の隙間がどれほど少ないかを表す指標です。C値0.7以下であれば、冬の暖かさはぐっと安定します。気密が弱いと、以下などの不具合につながりやすくなります。
- 窓まわりの結露
- 換気がうまく回らない
- 暖房をしても冷気が入り込む
「高気密は息苦しい」が誤解であることも、知っておいて損はありません。適切な換気とセットであれば、空気の質はむしろ良くなりますよ。
「リビング階段は寒いのでは?」の答え
<当社施工事例>
これは山中木材でもよく聞かれる質問です。結論から言うと、断熱・気密が整っていればリビング階段が原因で家が寒くなることはほぼありません。むしろ、以下など、生活面でのメリットも大きいです。
- 家族のコミュニケーションが増える
- 冬のあたたかい空気を2階へ届けやすい
ただしデメリットもあります。それは「音漏れがしやすい」という点です。このデメリットは、階段の近くに静かにしたい部屋を配置しない、廊下に扉を追加するなど、間取りで十分に調整できます。リビング階段が寒くなると言われるのは、多くが“性能の不足”によるもの。階段の位置で悩む前に、まず性能の底上げを優先するほうが確実です。
換気システムと湿度管理は「体感温度」に直結
<当社施工事例/換気システム給気口>
換気は「空気の入れ替え」だけではなく、室温にも影響します。特に冬は、外の冷たい空気がそのまま入ってくる第3種換気より、熱交換を行う第1種換気の方が体感温度が安定します。さらに、湿度が低いと体感温度も下がります。少し難しい話になりますが、絶対湿度を8〜11g前後に保つと、過剰に暖房を使わなくても快適になりますよ。
<関連記事>
【第1種換気は3種類ある!?】換気システム「澄家(sumika)」の仕組みと他方式との違いをわかりやすく解説
共働き家庭ほど「冬に強い家」の恩恵が大きい理由
<当社施工事例>
冬が快適な家は、朝の準備や家事動線がスムーズになります。特に共働き家庭では、以下のメリットがあります。こうした積み重ねが、毎日を軽くしますよ。
- 朝起きるのがつらくない
- 子どもの着替えがスムーズ
- 洗濯物が乾きやすい
- 暖房費が安定する
よくある質問(FAQ)

Q1|断熱等級5で本当に十分ですか?
→ 地域によりますが、0.6以下は満たしたい基準です。0.5前後だとより快適になります。
Q2|リビング階段は本当に寒くない?
→ 性能が整っていれば大きな問題にはなりません。音対策だけは検討しましょう。
Q3|第1種換気はメンテが大変と聞きました
→ 機種によります。フィルターが外側にあるタイプはメンテが比較的ラクです。
Q4|床暖房があれば断熱はそこまで意識しなくてもいい?
→ 床暖房はあくまで“暖める装置”。家の性能が弱いと光熱費がかかります。
まとめ|暖かさは家族みんなの未来への投資
家があたたかいと、朝起きるのがラクになり、家事がスムーズになり、風邪もひきにくくなります。つまり、「あたたかい家=日々のゆとりを増やす家」です。難しい専門用語を覚える必要はありません。窓・断熱・気密。そして換気。この4つを押さえるだけで冬のストレスはぐっと減ります。これから家づくりを進める皆さんが、「建ててよかった」と心から思える住まいをつくれるよう願っています。
