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補助金

「補助金がなくなるから今すぐ契約を!」に要注意?元大手HM営業が教える、補助金ありきで家を建ててはいけない理由

はじめに

2026年も1ヶ月が過ぎ、いよいよ春に向けて家づくりを本格化させる方も多いのではないでしょうか。そんな中で今、話題になっているのが「みらいエコ住宅2026事業(仮)」という新しい補助金制度です。

最大で100万円以上が受け取れるこの制度は非常に魅力的ですが、一方で、この時期のモデルハウスでは「今契約しないと、この補助金枠がなくなって損をしますよ」という営業トークが飛び交う季節でもあります。焦る気持ちは痛いほどわかりますが、補助金はあくまで家づくりの「おまけ」であり、それを目的にしてしまうと、かえって大きな損をしてしまうことがあるからです。

今回は、元大手ハウスメーカーの営業マンとして10年間、最前線で多くのお客様と向き合ってきた私、藤井が、業界の裏事情と「本当に後悔しない補助金との付き合い方」を解説します。

※本記事は2026年1月時点の情報をもとに作成しています。制度の詳細は以下の公式ページをご覧ください。
国土交通省:みらいエコ住宅2026事業について<外部リンク>

この記事を書いた人:元・大手HMの営業マン藤井

大手ハウスメーカーの営業マンとして働いていた時代、知識がないばかりに営業主導で契約を進められ、結果として損をしてしまった施主様をたくさん見てきました。そうした経験から「施主様ご自身が正しい知識を持つことの重要性」を痛感しています。私の実家は一級建築士も所属する不動産会社を営んでおり、そこでは注文住宅を熟知した専門家集団がお客様の土地探しから寄り添うスタイルを貫いていました。その原体験も踏まえ、今回は営業マンのポジション・トークではなく、皆様の利益を守るための本音をお話しします。

まずは基本を知ろう!「みらいエコ住宅2026事業」の3つのポイント

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まずは、今回の「みらいエコ住宅2026事業」がどのようなものか、要点を絞ってお話しします。細かい専門用語は抜きにして、ここでお伝えしたい本質は、「高い補助金をもらうためには、高い設備(HEMSや大量の太陽光パネルなど)を買わなければならない」という「出費」の側面です。

この制度には大きく分けていくつかのコースがありますが、皆さんが検討の土台に乗せるべきは主に2つです。

一つ目は「GX志向型住宅」と呼ばれる、非常に高い省エネ性能を持った住宅です。これには110万円という高額な補助金が出ます。もう一つは「長期優良住宅」で、こちらは75万円の補助金となります。昨年と比較すると、GX型は大幅に減額され、長期優良住宅もわずかに減額されていますが、依然として大きな金額であることに変わりはありません。

ここで重要なのは、110万円もらえるGX型と、75万円の長期優良住宅の間には、金額差以上に「クリアすべき厳しい条件」が存在するという事実です。GX型として認められるためには、断熱性能などの基本スペックに加え、太陽光発電システムなどでエネルギー消費量を実質100%以上削減することが求められます。さらに、HEMS(ヘムズ)というエネルギー管理システムの導入も必須条件となります。一方で、長期優良住宅はそこまでの重装備は求められません。この「条件の違い」が、後ほどお話しするコストの落とし穴に直結してきます。

[元・大手HMの営業マン]藤井からのアドバイス①

ここで一つ注意していただきたいのが「対象となる世帯」の条件です。
GX志向型住宅は全ての世帯が対象ですが、長期優良住宅の枠を利用できるのは「18歳未満のお子様がいる子育て世帯」もしくは「ご夫婦のどちらかが39歳以下の若者夫婦世帯」に限定されます。もし、お子様がすでに独立されたご夫婦などが家を建てる場合は、条件の緩い長期優良住宅枠が使えない可能性があるため、最初からGX型を狙う必要があるかもしれません。ご自身の世帯がどちらに該当するか、まずは確認することから始めてくださいね。

なぜ担当者は契約を急かすのか?「3月末の決算」と「補助金スケジュール」の密接な関係

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制度の概要がわかったところで、なぜ今の時期に「契約を急かす営業トーク」が増えるのか、その舞台裏をお話しします。これには「会社の都合」と「国の予算」という2つのタイムリミットが関係しています。

多くのハウスメーカーや工務店にとって、3月末は決算期にあたります。営業担当者には年間の目標数字があり、3月までに1件でも多く契約を結びたいという強烈なプレッシャーがかかっています。そこに都合よく重なるのが、今回の補助金のような「予算上限のある国の制度」です。「国の予算がいつなくなるかわからない」「早い者勝ちです」という言葉は、嘘ではありませんが、営業マンにとっては決算目標を達成するための最強の「クロージング(契約決定)」材料として機能してしまいます。

もちろん、担当者も悪気があって急かしているわけではなく、「お客様に確実に補助金を受け取ってほしい」という善意で動いているケースが大半です。しかし、その善意がプレッシャーとなり、本来じっくり検討すべき間取りや仕様の決定がおろそかになったまま、「まずは契約を」と急いでしまうことこそが最大のリスクなのです。補助金は予算が上限に達すると終了してしまいますが、例年の傾向を見れば、申請が始まってすぐに蒸発するように消えるわけではありません。焦って契約して後悔するよりも、納得いくまでプランを練るほうが、長い目で見てプラスになることは間違いありません。

[元・大手HMの営業マン]藤井からのアドバイス②

スケジュールの話で混乱しやすいのが「いつの工事が対象か」という点です。今回のみらいエコ住宅2026事業では、2025年11月28日以降に「基礎工事」に着手した物件が対象となります。すでに着工している場合でも対象になる可能性がありますが、これから契約する方は「申請の受付開始(例年通りなら春頃)」と「予算の消化状況」を注視する必要があります。営業担当者に「今の予算消化率はどれくらいですか?」と冷静に質問できる余裕を持ってくださいね。

100万円をもらうために150万円アップ!?見落としがちな「申請コスト」と「仕様変更」の罠

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ここからが今日一番お伝えしたい内容です。先ほど、GX型(110万円)と長期優良住宅(75万円)があるとお話ししました。その差額は35万円です。では、この35万円を多くもらうために、GX型を目指すべきなのでしょうか。

ここで冷静な「損得勘定」が必要です。GX型の認定を受けるために必須となるHEMS(ヘムズ)や、基準を満たすための大容量の太陽光パネルを導入するには、当然ながら追加費用がかかります。特に太陽光パネルは、GX型の厳しい基準(一次エネルギー消費量100%削減)をクリアするために、一般的な家庭が必要とする量を超えて、5kWや6kWといった大きな容量を載せなければならないケースが出てきます。また、HEMSの機器代金や工事費もかかります。

もし、これらの追加設備に合計で100万円や150万円かかるとしたらどうでしょうか。「35万円」の追加補助金をもらうために、その何倍もの持ち出し費用が発生することになります。これでは本末転倒です。もちろん、もともと大容量の太陽光発電を載せる予定だった方にとってはGX型は渡りに船ですが、そうでない方が補助金のためだけにスペックを上げるのは、コストパフォーマンスの観点からはおすすめできません。多くの方にとっては、過剰な設備投資を必要としない「長期優良住宅(75万円)」の枠を確実に利用するほうが、手出しのお金が少なく済み、結果として賢い家づくりになることが多いです。

[元・大手HMの営業マン]藤井からのアドバイス③

HEMS(ヘムズ)という機器について補足します。これは家庭内のエネルギーを見える化するシステムですが、今回の補助金の要件では「設置すること」が条件であり、実際にその機能を毎日活用するかどうかは「居住者の判断」とされています。つまり、補助金をもらうためだけに、使わないかもしれない機器にお金を払って設置するという、少し不思議な状況が生まれがちです。見積もりを見る際は「補助金額」だけでなく「そのために増えるオプション費用」を必ずセットで計算してください。

「補助金対象=最高の家」とは限らない?数値クリアのために犠牲にしてはいけない「暮らしやすさ」

<当社施工事例>

最後に、性能数値と住み心地の関係について触れておきます。国の補助金基準は、あくまで「省エネ性能」に特化した通信簿のようなものです。断熱等級やエネルギー消費量の削減率といった「数値」が高ければ高いほど、補助金の額は上がりやすくなります。

しかし、数値を良くすることだけに囚われると、思わぬ弊害が出ることがあります。例えば、断熱性能の数値を計算上良くするために、あえて窓を小さくしたり、数を減らしたりするケースがあります。その結果、数値上は「超高性能な家」ができあがりますが、実際には室内が暗く、風通しの悪い、どんよりとした家になってしまうこともあり得るのです。

家は、断熱材のカタログスペックの中で暮らすものではありません。日当たり、風通し、家族がくつろげる広さ、使いやすい動線。これらが揃って初めて「いい家」になります。山中木材が大切にしているのは、補助金の要件を満たすことだけを目的にせず、お客様が実際に暮らした時の「心地よさ」を最優先にする設計です。補助金はあくまで、私たちが提案する「快適で長く住める家」の結果として、ついてくるボーナスのようなものだと考えていただいたほうが健全です。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 結局、GX志向型と長期優良住宅、どちらを選べばいいですか?
→ 無理なく条件を満たせるなら「長期優良住宅」がおすすめです。
記事内でも触れましたが、GX型との補助金額の差は35万円程度です。この差額のために太陽光パネルを増量したりHEMSを追加したりすると、かえって自己負担が増えるケースが多いため、標準的な仕様でクリアできる長期優良住宅を選ぶのがコストパフォーマンスに優れています。

Q2. 補助金の予算はいつ頃なくなりますか?
→ 明確な時期は誰にもわかりませんが、早めの行動が安心です。
今回の新築向け予算は1750億円規模とされていますが、人気が高まれば早期に終了する可能性は十分にあります。ただ、3月や4月に申請が始まっていきなり即日終了ということは考えにくいので、焦って契約するよりも、春先に向けて着実に計画を進め、申請開始と同時に動けるように準備しておくのがベストです。

Q3. 太陽光パネルは載せないほうがいいのですか?
→ いえ、載せること自体は非常におすすめです。
最近は電気代も高騰していますので、自家消費のために太陽光パネルを載せるメリットは大きいです。ここでお伝えしたかったのは「補助金の計算式をクリアするためだけに、必要以上の量を無理して載せる必要はない」ということです。ご家族の人数や生活スタイルに合わせた適正量を載せるようにしてください。

まとめ

<当社施工事例>

今回は「みらいエコ住宅2026事業」をテーマに、少し厳しい視点でお話しさせていただきました。補助金は、国が用意してくれたありがたい支援策です。「もらえるものはもらう」というスタンスは正解ですが、それに振り回されて、本来の目的である「自分たちにぴったりの家づくり」を見失ってしまっては意味がありません。

「今月中に契約しないと間に合いませんよ」と急かされた時こそ、一度冷静になって計算機を叩いてみてください。そして、もし判断に迷ったら、私たちのような専門家にセカンドオピニオンを求めてみてください。

皆さんが補助金という「手段」を賢く使いこなし、最高の「目的(マイホーム)」を手に入れられることを心から応援しています。

この記事を書いた人

営業部 チーフ 藤井 駿

営業部 チーフ 藤井 駿

家づくりでのお悩みを一つ一つ丁寧に解決させて頂きます。山中木材で建てて良かったと思われるよう責任持ってご担当させて頂きます。

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