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収納

【新築の収納計画】「とりあえず広く」は失敗の元!住んでから後悔しない適材適所の収納ルール

はじめに

<当社施工事例(延床34坪)>

こんにちは。元・建築資材の商社マン、井上です。

家づくりにおいて、多くの方が「収納はとにかく広く、たくさん欲しい」と希望されます。確かに収納面積が広いと安心感がありますが、間取り図の空きスペースをただ大きな収納にするだけでは、住み始めてから「片付けにくい」「家が散らかる」と後悔するケースが後を絶ちません。

収納は「面積」を増やせば解決するわけではないのです。大切なのは、生活動線に合った場所に、適切なカタチで作ることです。今回は、私がこれまで多くの住宅図面や現場を見てきた経験から、間取り図を見ているだけでは気づきにくい「実際の生活動線」と「片付けのリアル」に焦点を当て、失敗しない適材適所の収納ルールをお伝えします。

【配置の後悔】そこにあっても使えない!生活動線を無視した収納

収納計画で最も多い失敗は、本来あるべき場所に収納がなく、使わない場所に大きな収納を作ってしまう「配置のミス」です。具体的にどのような悲劇が起こるのかを見ていきましょう。

「とりあえず2階に大容量」の罠

<当社施工事例/2階に上がってすぐにあるウォークインクローゼット(延床32坪)>
間取りの制限により1階の収納がコンパクトなってしまう場合の補完として設置

敷地の広さには限りがあるため、リビングや水回りが集まる1階はどうしても面積が厳しくなります。そこで「余った2階のスペースに大きなクローゼットを作ろう」と考えがちですが、これが失敗の始まりです。私たちの生活の拠点は基本的に1階です。2階に日常使いの服を収納してしまうと、着替えのたびに階段を上り下りすることになり、結局は面倒になってリビングのソファに服が山積みになってしまいます。2階の収納は、季節外れの家電や思い出の品など、普段使わないモノ専用と割り切る必要があります。

洗面脱衣室の「収納ゼロ」は家事ストレスの温床

<当社施工事例/洗面脱衣室まわりの充実した収納(延床37坪)>

家の中で最もモノが密集するのは、実は洗面脱衣室です。タオル、家族全員の下着、パジャマ、さらにはシャンプーなどのストック類で溢れかえります。近年は共働き世帯を中心に室内干しをするご家庭も増えていますが、干した洗濯物をその場で畳んでしまえる収納がないと、乾いた洗濯物をわざわざ別の部屋へ運ぶ手間が発生します。結果として、リビングの一角に洗濯物の山が放置される原因になります。

リビングに散らかる「名もなき小物たち」の居場所

<当社施工事例/階段下を活用したミニ和室の収納(延床29坪)>

「生活感のないスッキリとしたリビングにしたい」と誰もが願いますが、リビングには爪切り、綿棒、文房具、スマホの充電器、郵便物など、細々としたモノが絶えず集まってきます。間取りの段階でこれらの定位置を決めておかないと、住み始めてから市販のカラーボックスや収納ケースを買い足すことになり、インテリアの統一感が失われてしまいます。階段下のスペースや、収納付きのテレビボードを活用するなどして、小物をサッと隠せる定位置を必ず確保してください。

食品や日用品が床置きになるキッチンとトイレ

<当社施工事例/キッチン横のパントリー兼ウォークインクローゼット(延床32坪)>

共働きで毎日スーパーに行けない現代では、週末のまとめ買いやふるさと納税の返礼品などで、食料品のストックが昔よりも増えています。そのため、キッチン周辺にパントリー(食品庫)がないと、行き場を失った段ボールや飲料水が床に直置きされてしまいます。昨今需要が高まっているセカンド冷凍庫の置き場所も、あらかじめ図面に組み込んでおくのが賢明です。また、トイレも同様に要注意です。トイレットペーパーの予備や生理用品などをしまう小さな棚やカウンターを設けておかないと、いざという時に非常に困ることになります。

[元・建築資材の商社マン]井上からのアドバイス①

洗面脱衣室やパントリーの収納は、最初から住宅会社に高価な造作棚を作り込んでもらう必要はありません。壁にレールを取り付ける「可動棚」を数枚設置するだけで十分です。無印良品やニトリなどの市販の収納ボックスと組み合わせることで、コストを抑えつつ、家族の成長に合わせて柔軟に収納の形を変えていくことができます。

【カタチの後悔】流行りに乗って大失敗!実は「コスパが悪い」収納術

収納の場所が決まったら、次は「どんなカタチにするか」です。SNSやインターネットでは様々な収納アイデアが溢れていますが、実は費用対効果(コスパ)が悪く、プロの目から見るとあまりおすすめできないものがいくつかあります。

憧れの「ウォークインクローゼット」や「シューズクローク」の落とし穴

<当社施工事例/限られた面積を無駄なく使ったシューズクローク(延床35坪)>

歩いて入れるウォークインクローゼットや、通り抜けができる(ウォークスルー型)シューズクロークは非常に人気があります。しかし、間取りの工夫がないまま、むやみに空間をL字型に使ったり、通り抜けの動線を作ったりすると、人が歩くための「通路」ばかりが増えてしまい、実際にモノを置ける面積はガクッと減ってしまいます。収納量を最優先するのであれば、通り抜けできない「行き止まり(ドン突き)」の形状にして、奥の壁面までしっかりモノを置けるようにした方が、限られた面積を無駄なく使えます。

「奥行き」のミスマッチが引き起こす使いにくさ

<当社施工事例>

収納は深ければ深いほど良いわけではありません。しまうモノに対して奥行きが深すぎると、手前ばかりにモノが置かれ、奥が取り出しにくいデッドスペースになってしまいます。文房具や本、日用品のストックといった小物類であれば、奥行きは25cm〜45cm程度が最も使いやすいサイズです。一方で、タオルや畳んだ衣類をしまう棚の奥行きが30cmだと、服がはみ出して崩れ落ちてしまうため、衣類収納には必ず45cmの奥行きを確保するようにしてください。

小上がり和室の下部収納・小屋裏収納の罠

<当社施工事例/リビング併設のミニ和室(延床32坪)>
収納の目隠しとしてロールスクリーンを設置。来客時には小物もサッとしまえる

和室の床を少し高くして、その段差部分に引き出し収納を設けるアイデアがあります。一見すると空間の有効活用に思えますが、実は引き出しのレールや木枠の下地などでスペースが取られるため、見た目ほどモノが入りません。その割に施工費が数十万円単位で跳ね上がるため、非常にコスパの悪い収納だと言えます。また、天井高の低い小屋裏収納(屋根裏収納)も、夏場はサウナのように暑くなるため荷物の出し入れが億劫になりがちです。予算をかけるのであれば、2階に普通の納戸を作った方が安価で使い勝手も良くなります。

ズボラさん厳禁!「見せる収納」はホコリとの果てしない戦い

<当社施工事例(延床29坪)>

扉をなくしたオープンな「見せる収納」は、モデルハウスで見るとおしゃれで憧れるものです。しかし、現実の生活ではどうしてもホコリが溜まりやすく、こまめな掃除と整理整頓が欠かせません。仕事や子育てで忙しい日々を送る方にとって、この維持管理は想像以上の負担になります。普段から来客の多い1階部分は、原則として「扉をつけて隠す収納」にするのが、家事ストレスを減らすための鉄則です。

[元・建築資材の商社マン]井上からのアドバイス②

玄関のシューズクロークを作る際、広々とさせたいからと幅を広く取りすぎる方がいらっしゃいます。しかし、靴を置く棚の奥行きは30cm程度です。そのため、シューズクローク全体の幅は「約1.3メートル(建築用語で1.5P)」もあれば、両サイドに棚を作っても人が通るのに十分なスペースが確保できます。無駄に広い収納を作って建築費用を上げるのではなく、ジャストサイズを見極めることが大切です。

図面確定前にチェック!失敗を回避する「3つの収納鉄則」

<当社施工事例(延床31坪)>

ここまでの失敗例を踏まえ、間取り図が確定する前にご自身でチェックしていただきたい3つの鉄則をまとめました。

[1]生活の基盤は1階!「1階完結型」の収納配置を目指す

前述の通り、私たちの生活の大部分は1階で行われます。帰宅して上着を脱ぐ、カバンを置く、着替える、おもちゃで遊ぶ。これらの動作に合わせて、階段下のデッドスペースやちょっとした壁の凹みなどを徹底的に探し出し、1階の日常使い収納を死守してください。2階の広さを少し削ってでも、1階の収納面積を優先する価値は十分にあります。

[2]大空間を1つ作るより、使う場所に「ジャストサイズの分散収納」を

家のどこかに巨大な納戸を1つ作るよりも、モノを使う場所のすぐそばに、適切な幅と奥行きを持った小さな収納を散りばめる「分散収納」の方が圧倒的に家事は楽になります。キッチンには食品、洗面にはタオル、リビングには小物といったように、使う場所としまう場所の距離を極力ゼロに近づける配置を意識してみてください。

[3]収納を増やす前に、まずは「引っ越し」を機にモノを減らす

いくら収納を工夫しても、持ち物の総量がキャパシティを超えていては意味がありません。新築のタイミングは、人生で最大の断捨離のチャンスです。「今の家にあるモノをすべて新居に持っていく」という前提を捨て、まずは不用品を思い切って処分することから始めてください。モノを減らすことができれば、無駄な収納スペースを作る建築費用も浮かせることができます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 1階に収納を増やすと、その分リビングが狭くなってしまいませんか?
→ 確かに図面上のリビングの畳数は少し減るかもしれません。しかし、収納が足りずにモノが溢れかえっている広いリビングよりも、少し面積が小さくてもモノがスッキリと収納されているリビングの方が、実際の生活では広く快適に感じられるものです。

Q2. 年に数回しか使わない来客用の布団は、どこに収納すればいいですか?
→ 来客用布団のために、貴重な1階のスペースを割く必要はありません。和室の押し入れを深くするよりも、普段使わない布団は2階の納戸やクローゼットの枕棚(上の段)に収納すると割り切ってしまいましょう。その分、1階には子どものおもちゃなどをサッとしまえる収納を作った方が日々の生活が豊かになります。

Q3. 子どもが小さいうちは、扉のないオープン収納の方が自分でお片付けしやすいと聞きました。
→ おっしゃる通り、お子様にとって扉の開け閉めはハードルになることがあります。その場合、2階の子供部屋のクローゼットは扉をなくしてコストダウンを図るのがおすすめです。ただし、急な来客の目にも触れる1階の収納については、ロールスクリーンを取り付けておき、普段は開けっ放し、来客時はサッと隠せるようにしておくと両立が可能です。

まとめ:収納計画は、家族の「これからの暮らし方」をデザインすること

<当社施工事例(延床31坪)>

家づくりでは、どうしても設備のグレードや外観のデザインに目を奪われがちですが、毎日の生活の質を最も左右するのは「収納の配置と使い勝手」です。

今、お手元に間取り図がある方は、図面の上で「帰宅してから寝るまでのご自身の動線」を指でなぞってみてください。「カバンはどこに置く?」「上着はどこで脱ぐ?」「買ってきた日用品はどこにしまう?」とリアルにシミュレーションすることで、足りない収納や無駄なスペースが必ず見えてきます。

図面上の空きスペースをただ埋めるのではなく、使う場所にジャストサイズで作る。この基本ルールを守って、いつまでもスッキリと心地よく暮らせる理想の住まいを叶えてくださいね。

この記事を書いた人

営業部 チーフ 井上 哲也

営業部 チーフ 井上 哲也

元・建築資材の商社マン。建築資材のプロとして私が家を建てるんだったら選ぶ、選ばないを中心に本ブログを書いています。「熱意は伝染する」私の大切にしている言葉です。お客様の熱意、私の熱意、そして現場の熱意、伝染し合って、素晴らしい家づくりに携われたらと考えています。

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