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新築だからこそできる「水害・台風・火災」から家族を守る家づくりの鉄則
目次
盲点になりがち!身近に潜む「3つの災害」リスク
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こんにちは。元・建築資材の商社マン、井上です。
家づくりにおいて、「地震に強い家にしたい」と考える方は非常に多いです。日本に住んでいる以上、それは当然のことだと思います。しかし、私が長年住宅業界に携わってきて感じるのは、地震以外の「水害」「台風」「火災」への対策が、盲点になっているという事実です。
「自分には起きないだろう」と油断しがちですが、統計を見ると1時間に50mm以上降る「ゲリラ豪雨」は40年前に比べて約1.4倍に増え、全国の97%の市区町村で何らかの水害が起きています。台風も毎年いくつも上陸し、予測不能な進路で思わぬ被害をもたらしています。また、建物火災は1日に約57件も発生しています。
家を建てるからには、これらの身近な災害リスクにもしっかり目を向ける必要があります。今回は、現場のリアルを知る立場から、新築の設計・計画段階でしかできない、実践的な災害対策をお伝えします。
【土地探し編】水害から家族を守る、ハザードマップの正しい見方
家づくりは土地探しから始まりますが、地震への強さだけでなく、ここで水害リスクをどれだけ避けられるかも重要な鍵となります。
「川の近く」だけじゃない。確認すべき4つのマップ
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水害リスクを確認する際、「家の近くに大きな川がないから大丈夫」と安心するのは危険です。役所が公開しているハザードマップは非常に正確に作られており、必ず以下の4つを確認してください。
- 外水氾濫(大きな河川が溢れること)
- 内水氾濫(ゲリラ豪雨などで下水道の処理能力を超え、マンホールなどから水が溢れること)
- 土砂災害
- 液状化現象(かつて川だった場所や砂丘などで起こりやすい地盤の緩み)
川から離れていても、「内水氾濫」によって道路が冠水し、床下浸水するリスクは全国どこにでもあります。
希望エリアが色付きだった場合の妥協点(50cmの壁)
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ハザードマップを確認すると、「駅に近くて便利な平地は、どこも色が塗られていて(リスクがあって)土地が買えない」と悩む方がたくさんいます。利便性と安全性のバランスは非常に難しい問題です。もし、どうしてもハザードエリア内で土地を選ぶ場合は、水没の深さが「50cm未満」の地域をひとつの目安としてください。1mや2mも浸水してしまうようなエリアは、命に関わるため避けるのが無難です。
[元・建築資材の商社マン]井上からのアドバイス①
土地探しに関しては、素人だけで判断せず、まずは信頼できる住宅会社を先に見つけることをおすすめします。プロの目で現地を調査すれば、周囲より少し低い土地であっても、盛土をして地盤を高くしたり、水はけを良くする排水工事や適切な地盤改良工事を行うなど、災害対策を考慮した家づくりをセットでおこなうことができるからです。「土地探しは住宅会社と一緒に」が、失敗しない鉄則です。
【設計・構造編】図面決定前に知っておくべき「基礎と耐火」の知識
土地が決まり、いよいよ建物の設計に入るとき、間取りやデザインよりも先に押さえておくべき災害対策があります。
水災保険がおりない?基礎の高さは「45cm超」が絶対条件
<当社施工事例>
水害に対して建物の設計でできる最大の防御は「基礎を高くすること」です。ここで絶対に知っておくべき数字が「45cm」です。
万が一、床下まで水が浸かってしまった場合、火災保険の水災補償を使いたいところですが、実は「地盤面から45cm以上の浸水」でないと保険が適用されないという厳しい基準があります。つまり、45cm未満の微妙な浸水で床下が泥まみれになっても、自腹で清掃や修繕を行わなければならないのです。
これを防ぐためには、基礎の高さを道路側の最も高い位置から「45cm超」になるように設計し、水が床下に入り込む隙間を作らないことが必須です。換気システムやエコキュートの配管を通すために基礎に穴を開ける場合は、そこから水や虫が侵入しないよう、工務店に念入りな止水・気密処理をお願いしてください。
火災保険料が半額に?「省令準耐火構造」の圧倒的コスパ
<当社施工事例>
火災への備えとして、図面段階で「省令準耐火構造(しょうれいじゅんたいかこうぞう)」の仕様にしておくことをおすすめします。これは、隣の家からの「もらい火」を防いだり、家の中で火事になっても部屋から部屋へ火が燃え広がるのを遅らせるための特別な構造です。
この仕様にする最大のメリットは、火災保険料が劇的に安くなることです。一般的な木造住宅であっても、鉄骨造と同じくらい火災に強いとみなされるため、火災保険料が約半額になります。建築時の施工費として数十万円かかったとしても、保険料の割引分で15年ほどで元が取れる計算になり、非常にコストパフォーマンスが高い投資と言えます。
【外観・窓周り編】猛威を振るう「台風と飛来物」への対策
近年、勢力を保ったまま上陸する台風が増えています。台風の進路予想円は「その円に入る確率が70%」という意味であり、30%は外れます。「予報円から外れているから大丈夫」と油断せず、また台風の進行方向の「東側(右側)」は風雨が強まる傾向があるため、より一層の警戒が必要です。
台風被害の最大の敵は「飛来物」。窓ガラスをどう守るか
<当社施工事例>
台風の時に一番恐ろしいのは、強風そのものよりも「風で飛んできた物が窓ガラスに当たって割れること」です。隣の家の瓦が飛んできて自宅の窓が割れたとしても、隣の人の保険は使えず、自分の家の保険で直さなければならないのが原則です。
これを防ぐため、飛来物から家を守る「シャッター」や「防災ガラス(割れにくいガラス)」の設置が非常に有効です。ただし、家中すべての窓につけると費用が跳ね上がるため、「リビングやダイニングの大きな窓」など、家族が避難して安全に過ごすスペースを中心に導入するのが現実的な選択です。
【要注意】屋根一体型の太陽光パネルに潜む火災リスク
※イメージ/屋根と一体型の太陽光パネル
少しテーマが逸れますが、屋根に太陽光パネルを載せる場合、「屋根材とパネルが一体になっているタイプ(屋根一体型)」は避けてください。過去に、パネルと家の間に燃えにくい材料(不燃材)が挟まれていなかったため、パネル側の発火が原因で家が火事になるという事故が起きています。火災対策としてはもちろん、雨漏り対策の観点からも、通常の屋根材をしっかり葺いた上に、金具で太陽光パネルを後乗せする方式を強く推奨します。
<関連記事>
新築の雨漏りリスクは屋根で決まる?梅雨や台風に負けない屋根材選び
【設備・ライフスタイル編】住んでからのリスクを激減させる選択
最後に、住み始めてからの設備の選び方や日々の工夫で防げる災害リスクについてお話しします。
住宅火災の原因第1位を防ぐキッチンの選び方
<当社施工事例>
住宅火災の原因の第1位は何かご存知でしょうか。答えは「コンロ」です。
鍋を振って本格的な料理を楽しみたいといった明確な理由がなければ、キッチンの熱源はIHクッキングヒーターを選ぶのが無難です。火を全く使わないため、コンロからの出火リスクを物理的になくすことができます。ちなみに火災原因の第2位は「タバコの不始末」ですので、ルールを守って吸うか、できれば吸わないのが一番です。
「もしも」の長期停電に備える、無理のない事前対策
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台風の時に最も困るのが「停電」です。電線に物が引っかかり、数日間電気が復旧しないケースも珍しくありません。
高額な大型の蓄電池を導入しなくても、日頃からできる備えがあります。例えば、車のガソリンは常に半分以上残しておくこと。いざという時は車の中で冷暖房が使え、スマホの充電もできます。また、数万円から買えるポータブル電源をひとつ持っておくだけで、簡単な調理やラジオの充電ができ、生活の安心感が全く違ってきます。太陽光パネルがある家なら、昼間にポータブル電源を充電できるのでさらに強力です。
よくある質問(FAQ)

Q1. 省令準耐火構造と、「準防火地域」で建てる家は違うのですか?
→ 全く違う概念です。「準防火地域」とは、駅前や住宅密集地など、火災が起きたら危険なので「燃えにくい窓や外壁を使いなさい」と法律で義務付けられているエリアのことです。このエリアで家を建てたからといって、自動的に火災保険料が安くなるわけではありません。保険を安くするには、あくまで「省令準耐火構造」の認定を受ける必要があります。
Q2. ハザードマップはどこで見ることができますか?
→ 国土交通省が運営している「ハザードマップポータルサイト」で全国の情報を確認できます。また、各市町村の役所のホームページでも詳細なマップ(PDF版など)が公開されています。土地探しの際は、必ずこのマップと現地の状況を見比べてください。
Q3. 台風の時、窓ガラスにテープを貼るのは効果がありますか?
→ 養生テープなどを「米」の字に貼ることで、ガラスが割れた際に破片が飛び散るのを「軽減」する効果はありますが、ガラス自体を「割れにくくする(強化する)」効果は全くありません。飛来物が当たれば簡単に割れてしまいますので、新築時にシャッターや防災ガラスを採用しておくことが根本的な解決になります。
まとめ:見えない部分の「安心」に投資する、賢い家づくりを
<当社施工事例>
家づくりでは、おしゃれなシステムキッチンや、無垢の床材といった目に見える部分にお金をかけたくなります。しかし、火災や水害、台風といった災害は、ある日突然、私たちの当たり前の日常を奪い去っていきます。
今回お伝えした「基礎の高さ」や「省令準耐火構造」といった部分は、建ってしまえば目に見えず、家づくりの地味な部分かもしれません。しかし、こうした目に見えない部分の「安心」にこそ、しっかりと投資をしてください。
土地の特性を正しく見極め、万が一の災害時にも被害を最小限に食い止める。カタログの見た目だけでなく、そういった命を守る構造や対策をしっかりと提案してくれる住宅会社をパートナーに選ぶことが、後悔しない家づくりの第一歩です。この記事が、皆さんの安心できる住まいづくりの参考になれば幸いです。
